国際連合児童基金「UnitedNationsChildren’sFund」の、国内組織が日本ユニセフ協会です。
(※前述の組織名の頭文字が「ユニセフ」になるのが由来)
募金活動等で、組織名を聞いた事があるという人は珍しくありませんが、一般的に「ユニセフ」と呼ばれている組織は、実は2つあるという事は意外に知られていません。

ユニセフの設立は1946年12月11日

まず、最初に出来た方は、国際連合児童基金の方であり、設立は1946年12月11日の事でした。
当時は第二次大戦が終結してから間もない時期であり、世界中に孤児や病気で苦しむ子供達が溢れており、その救済の為に「国際連合国際児童緊急基金」の名で組織が設立される事となります。
ちなみに日本も国際連合国際児童緊急募金には1949年~1969年の間から、大きなサポートを受けており、脱脂粉乳や医薬品、原綿等の提供を受けています。
この時期の事を現在でも60代以上の世代では覚えている人達が多数いて、海外援助に積極的な人の原体験として、この時期の話を語る事も珍しくありません。

ユニセフの名前に改定されたのは戦後の混乱が1段落した1953年

そんな組織が、現在の「国政連合児童基金」ことユニセフの名前に改定されたのは戦後の混乱が1段落した1953年の事でした。
組織の目的も「第二次大戦の残滓から子供達を救う」から、「開発途上国や内戦被害で苦しむ子供達を救う」という事で微調整される事となります。
(※18歳未満の子供の権利の保障を定めた、「子供の権利条約」の啓蒙活動という実地ではなく、制度面の方からの働きかけ等もユニセフの守備範囲)その活動は広範囲に渡り、最終的には1965年にはノーベル平和賞を受賞するに至る程となりました。

ユニセフの組織構成

そんなユニセフですが、この組織は「支部」+「現地事務所」と、それらを統括する世界7か所に点在する「地域事務所」で構成されています。
総本部のニューヨーク支部が組織群全体を取り仕切っており、本部の執行理事会は36か国の政府代表で構成されていて、その理事の任命は国連内の経済社会理事会で任命される事となっていて、任期はそれぞれ3年設定であり、組織の予算や援助計画の策定が主任務に設定されていると思って下さい。
規模が相当に大きい組織であり、コペンハーゲンにある物資の買付と発送の中心拠点の「ユニセフ物資供給センター」や援助対象の子供の各国の状況を分析研究するフィレンツェの「イノチェンティ研究所」等の大きい施設を有している事等も、押えておきたいポイントです。
このユニセフの事務所は日本の東京渋谷区のUNハウス内にも存在し、日本と韓国の兼任代表執務室が此処に設置されていたりもします。
そんな日本事務所の主だった任務は、国内外のNGOとの協力体制の構築や資金援助を受ける為の各国政府との折衝、セミナーやワークショップの運営になります。

ユニセフの協力組織として1955年に発足した日本ユニセフ協会

そんなユニセフの協力組織として、1955年に発足したのが日本ユニセフ協会です。
設立したのは1955年で、本部に正式認証されたのが1977年と理解すると齟齬がありません。
前者の「ユニセフ」の方は、「日本政府等のより大きい集団との折衝(※民間への啓蒙活動を含む)」で、日本ユニセフ協会の方は「地元の民間協力者との連携した草の根活動」という事で無関係ではないのですが、活動領域が相応に分かれていたりします。
他の国でも同様の組織構成になっており、「大元の組織の理念に賛同した集団が、認定を受けて地元で実働部隊として活動している」と考えて下さい。
ちなみに、日本ユニセフ協会も含めた地元組織の影響力は単なるボランティア程度の物ではないです。

地元組織が募金活動等で集める拠出金は30%にも及ぶ

資金調達の割合で言うと各国政府からの拠出金60%に対して、地元組織が募金活動等で集める拠出金は30%にも及ぶので、実は相当大きいという事も押えておきたいポイントです。
ただ、全ての国で地元の協力組織が稼働しているのかといえばそうではなく、中には現在進行形で紛争が起きており、地元で協力組織を作る事が実質不可能なケースもあります。
その場合は、より本部からの影響が強い「現地事務所」を立ち上がるという事も少なくありません。
状況によって多少の変更はありますが、この現地事務所は本部に直轄したスタッフと現地の事情を熟知した現地採用スタッフから構成される事がほとんどで、この形式での援助が現在世界155か国で行われています。
主な主任務は「援助計画と必要経費の策定」と、「問題が実際に起きた際にどうしたらそれらが解決出来るのか」といった2段構えになっており、現地スタッフと本部直轄スタッフとの円滑なコミュニケーションが成否に大きく関わってくるというのも押えておきたいポイントです。
当然、先進国のオフィス勤務よりも相当に難度が高くなるという事も補足しておきます。

まとめ

最後に国連加盟国であっても、ユニセフの支部も国内協力組織も全く存在しないマルタ共和国やリヒテンシュタイン公国といったケースも存在する事も押えておいて損は無いです。

 

参考になる記事
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